都会に住む人たちの終の棲み家は?

都会に住む人たちの終の棲み家は?

シニアの移住先は基本的にマンションというのが一般的なようです。

終の棲み家は都会のマンションか、それとも田舎の一軒家か

プレジデント 2014年10月15日(水)16時15分配信

シニアの移住先は基本的にマンション!

 シニア層の中で「住み替え」の要望が出てくるのは、60代から70代にかけて。この世代には1980年代から90年代前半にかけて、郊外の一戸建てを購入した人が多い。

 一戸建ては基本的に2階建てだが、年齢とともに階段の上がり下りがつらくなる。また坂の多い地域では、その上り下りがつらい。

 そこで「平坦な地域にあるマンション」という希望が出てくる。戸建てと違って階段で移動する必要がなく、屋外に出るにもエレベーターがある。今のマンションはバリアフリーが一般的だし、セキュリティーも戸建てよりしっかりしているので、高齢者を狙う犯罪が増加している中、子供たちも安心するという面がある。

 移転先は、基本的には今より便利なところ。「住み慣れた街から離れたくない」という人、「同じ沿線がいい」という人も多い。前者の場合、「今使っている駅の近く」といった希望が多くなる。今のシニア層はバブル時代の思い出を残しているせいか、駅前の繁華街のように賑やかで、少しテンションが上がる地域を好む傾向もあるようだ。「同じ路線」という人も、多くは今住んでいる場所より都心に近い駅を希望する。

 ただしシニアの場合、若いときよりも行動範囲が狭くなっているので、駅を使う頻度は少なく、現実的には日用品をショッピングする場所や病院に近いことがポイントとなる。

 富裕層の場合、マンション移転は相続対策の意味もある。相続税の資産評価では「小規模宅地の特例」として、相続人が親の所有していた家に住んでいる場合、240平方メートル以下に限って、評価額が大幅に低くなる。このためそれまで住宅地で広い家に住んでいた場合は、都心のマンションに住み替えることが相続対策にもなる。手元に多額の現金預金がある場合も、そのままにしているよりマンションを購入するほうが、相続の際の評価額が低くなる。
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■“田舎暮らし”物件は相続した子の負担に

 問題は今の住宅取得層に、シニア世代が住んでいるような、50~60坪の広さのある宅地を一括で買う資力がないことだ。

 80年代以降に開発された住宅地では、住宅地の環境を守るため、建築協定や地区計画で最低敷地面積を定めている場合がある。その面積が大きい場合や斜面の途中に建てられたような家では、物理的にも分割が難しい。田園調布など名の知られた高級住宅地は別として、普通の郊外の住宅地で、土地代だけで5000万~6000万円という物件は、なかなか買い手がつかず、それが理由で転居をあきらめる人も多い。

 それまでマンションに住んでいた人が、シニアになってから一戸建てに移るケースは少ない。今より都心から離れた、郊外や地方に移住したいという希望も、多くない。リゾートにしても高齢者には不便な面が多い。ただ、バブル期に開発されたリゾートマンションが今は非常に安く手に入るので、それを終の棲み家として、逗子や箱根に移住するケースは多少、出ている。

 田舎暮らしに憧れて都会から移る人もいるが、家族の同意を得るのが難しい。地方に広い土地つきの一戸建てを購入して農業を始めたものの、奥さんと娘に移住を拒否され、単身赴任状態になってしまった人もいる。JRでは上越新幹線の安中榛名駅の周辺などに、リタイア世代をターゲットとする住宅地を開発している。ガーデニングや畑仕事、ゴルフなどをして過ごすことを想定、東京郊外の家を売るか、貯金に退職金を合わせれば購入できる程度の価格設定となっている。こちらは夫婦で移住する人が多く、少数ながらも田舎暮らしの希望者はいるようだ。

 ただしそうした物件の問題点は、買い手が付かない等々、相続した子供の負担になってしまうこと。子供のことを考えれば、終の棲み家には市場性のある物件を選ぶべきだ。

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生活デザイン株式会社 フィナンシャル・プランナー 藤川 太
1968年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。自動車メーカー勤務を経てファイナンシャルプランナーとして独立。著書多数。
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生活デザイン株式会社 フィナンシャル・プランナー 藤川 太 構成=久保田正志

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20141015-00013596-president-bus_all