神経障害性疼痛の娘さんからのご相談

親の介護をされている娘さんが神経障害性疼痛で悩まれているそうです。

親の介護継続が難しい状態で、どこか入居先を探したいとのことでした。

親子で病気のケースも増えており、お気の毒です。

親を安心できる高齢者住宅に入居してもらい、自分は治療に専念したいというお話でした。

ちょうどタイミング良く、以下の情報がありましたのご参照ください。


腰や尻が痛む「神経障害性疼痛」 治療法が進歩

医療機関が充実、遺伝子解析に脚光 2013/1/4付 記事保存


 神経系の障害や機能異常などによって起きる神経障害性疼痛(とうつう)。生活の質(QOL)を大きく低下させるが、従来は診察を受けても「しばらく様子を見ましょう」で終わるケースも多かった。

最近、痛み関連の遺伝子が分かってきたほか、痛みを扱う医療センターの充実、新しい薬の登場などもあり、より正確で効果的な診断・治療が可能になってきた。

 血液などから患者の遺伝子を解析し、最適な鎮痛薬を選んで投与量を決める――。近い将来、こんな治療法が広がるかもしれない。東京都医学総合研究所は東京歯科大学と組み、下顎の形成外科手術を受けた患者の痛みを抑えるのに必要な鎮痛薬の量と、遺伝子配列の特徴に関係があることを突き止めた。


■推定患者数660万人

約360人の患者の口腔(こうくう)粘膜を採取。遺伝子配列のわずかな違いを示すSNP(一塩基多型)の中から、モルヒネに似たオピオイドと呼ばれる鎮痛薬の必要量と関係が深いものを見つけた。マウスの実験結果なども踏まえ、患者のSNPの解析データから鎮痛薬の投与量を決める計算式を作った。

 2012年から東京歯科大水道橋病院でこの計算式を使った投薬を始めている。今後は他病院の協力も得て、オピオイド以外の鎮痛薬の量とSNPとの関係なども明らかにする方針だ。様々な神経障害性疼痛の治療に生かす考えで、「3~5年内に実現したい」(都医学総研の池田和隆プロジェクトリーダー)。

 神経障害性疼痛に悩む患者は多い。日本大学医学部の小川節郎教授らは10年、インターネットを使い20~69歳の約2万人に痛みについて聞く大規模調査を実施した。慢性の痛みがあると答えたのは26.4%で、その約4人に1人は神経障害性疼痛が疑われた。

 調査結果から小川教授は全国に成人の慢性疼痛患者は約2700万人おり、このうち神経障害性疼痛は約660万人と推定する。多くは腰、背中、尻などの痛み。「焼けるような」「ひりひりする」「ピーンと走るような」「むずがゆい」などと表現される。

 神経障害性疼痛は帯状疱疹(ほうしん)にかかった後や糖尿病などに伴って起きやすい。手術で細かい神経が障害を受けた場合や神経の通り道が狭くなり起きる脊柱管狭窄(きょうさく)症でも発生する。心理的な要因が重なることもある。ピンポイントで原因を特定し一気に治すのは難しいという。「短い診察時間内に患者はどう痛いか十分に説明できず、医師もとりあえず保険適用になる病名を告げて終わりという例も目につく」とある専門医は明かす。

痛み緩和へ対話も

患者と日常の様々な出来事について話し合う西原准教授(左)(愛知医科大学学際的痛みセンター)

 「仕事上のストレスは多いの」「最近、趣味の漫画はどんな感じなの」。愛知医科大学の学際的痛みセンターの西原真理准教授が、全身の筋肉が痛む病気に悩む川田桂子さん(27、仮名)に話しかける。約30分の診察時間中、痛む場所の確認や薬の話は10分程度。「痛みを和らげる努力をしながらも、いかに充実した時間を過ごし生活の質を上げられるかを一緒に考える」と西原准教授は説明する。

 同センターは学際と名乗る通り、整形外科、麻酔科、精神科の医師や理学療法士などが常駐している。「週2回のカンファレンス(症例検討会)で、初診患者の治療方針や問題点を徹底的に話し合う」(牛田享宏センター長)

 痛みセンターやペイン(痛み)クリニックを設ける病院は増えている。他科と連絡を取り合いチーム医療を目指すが、各科の医師らが兼任ではなく常駐する愛知医大のような例は珍しい。牛田センター長は他の医療機関の痛みの専門家にも呼びかけ、学際センター方式の普及を提唱する。

 実際に痛みを取り除くには薬も重要だ。がんの痛みを抑えるのにも使われる非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)がよく知られるが、炎症を抑える薬で神経障害性疼痛には向かない。東京慈恵会医科大学付属病院の北原雅樹ペインクリニック診療部長は「炎症の有無もわからないままNSAIDsを処方する医師もいる」と指摘する。胃潰瘍、腎臓障害などの副作用に注意が必要という。

 米ファイザーが開発したプレガバリン(商品名リリカ)は神経障害性疼痛の治療に効果的と注目されている。日本では10年6月に帯状疱疹後神経痛の薬として発売した。その後、より広く末梢(まっしょう)性神経障害性疼痛や線維筋痛症の治療にも使えるようになった。

 痛みを伝える神経伝達物質が過剰に出ないよう抑えて鎮痛作用を発揮する新しいタイプの薬で、選択の幅が広がった。ただ、めまいや一過性の意識消失の副作用が報告されており注意したい。

 慈恵医大の北原診療部長は「長年の痛みが1日で消えることはないのでゆっくり治す心構えが必要」と指摘する。日大の小川教授は「日ごろから運動をして筋力を鍛えることも痛みの防止につながるので、実践してほしい」と呼びかけている。

(編集委員 安藤淳)


日本経済新聞夕刊2013年1月4日付